「論語と算盤」逐次解説 第6回 

文聞亭笑一

21、習慣の感染性と伝播力

由来 習慣とは、人の平時における所作が重なって、一つの固有性となるものである。

日々に習慣を続けることで、その人の人格にも関係してくる。更には他人に伝染する。

新語、流行語も似たようなもので、一つの言葉や人気者の習慣がついには天下の習慣にもなりかねない。

とかく習慣は不用意のうちに出来上がるから、直す気があれば直せるものだ。

習慣や癖というのは、子供の頃からの繰り返しで定着してきました。

「なくて七癖」などとも言いますし、気が付かず、無意識のうちに繰り返しているのが習慣です。

無意識ですから…自分では気が付かず、他人から指摘されて気づく場合が多いのです。

これが、ちょっと気に障るところで「俺流だ!」などと意地を張って直すことをしません。

ただ、ある程度の立場になると、自らの組織内に伝染して好ましからざる事態になりますから、直さざるを得なくなります。

「整理、整頓」などはその最たるもので、大概の人物は自宅、自室では良い加減にしていますが、組織の長となれば やれ5S運動だ、整理整頓は仕事の基本だ・・・などと指示命令することになります。

率先垂範しないことには部下がついて来ませんから、悪習を改めます。

組織を卒業すると・・・元の木阿弥、悪習に戻ります。が、それでも重要な書類などがすぐに出て来ないと、家人から認知症を疑われますから、それなりの整理は心がけます。

22、偉き人と 完(まった)き人

英雄豪傑など、偉い人は他に超越した点を持つ人で、いわば変態である。

それに反して完き人は智、情、意の働きが均等になされた常識の人である。

私は偉い人の輩出を希望するが、社会の大多数は完き人あってほしいと願う。

若いうちは偉い人を目指して励むのが良いが、実社会に出てからは完き人がよい。

この文章を読みながら昨年の大河ドラマ「麒麟が来る」を思いだしました。

織田信長・・・渋沢栄一が定義する「偉い人」の典型ですね。変態とは言い得て妙で、あれだけの殺人を苦もなく命じられるというのは異常です。

ヒトラーは当然として、トランプなども同様な変態かもしれません。

それに対して教養人の光秀は、典型的な「完(まった)き人」に近かったかもしれません。

23、親切らしき不親切

志が正しく、行動も正しい者が高い評価をされてしかるべきところだが、世の中のことは なかなかそうはいかない。

他人の評価は志よりも行動に重きを置き、更に結果を見て善悪を判断しがちなので、志が高く、行動が正しくとも評価されるとは限らぬ。

むしろ、行動が俊敏で派手なものの方が評価されることが多い。 

タイトルと文章の中身が合わない部分が多いのですが、イントロで小学校教科書「親切のかえって不親切になる話」の事例を引用しているからでしょう。

タイトルだけ見たら、私のやっている民生委員活動のことかと思いました(笑)

「親切とお節介」は将に紙一重、相手の受け止め次第なのです。

日産を立て直した・・・と、一時期は経営の神様のように言われたゴーンさんは、この項にあてはめると何と言われるでしょうか。

彼のやったことは基本的に首きり、解雇権の乱用です。勿論、その他にも改革をし、海外メーカとの提携なども行っていますが、前項の「信長」と同じです。

だからこそ英雄だ。たしかにそうかもしれません。ただ、英雄にしては個人の蓄財に欲をかきすぎましたね。悪人としての評価の方が高くなりました。

彼を、神様の如くほめたたえていた評論家やマスゴミは卑怯にも口を閉ざします。だから彼らは「ゴミ」なのです。社会のゴミです。

24、動機と結果

私は、志の曲がった軽薄才子は嫌いである。さりながら、神ならぬ身では人の志まで見抜くことは容易でない。

自然、志の良し悪しはともかく、所作の巧みな人間に利用されかねぬ。

事を起こす動機が良ければ行いも善だという考え方もあるが、動機が悪でも結果が善と出ることもあって、謀反や革命、戦争などはその最たる例である。

同一の志を持って向かっても、相手によってその結果を異にする。

現代の日本では、戦争は絶対悪で戦争を肯定するような意見を言うものは極悪人とされますが、人間の歴史記述の大半は戦争の歴史ですね。

日本史でも神武東征に始まり、日本武尊の蝦夷退治、そして大化の改新、壬申の乱から源平、南北朝、戦国と延々と戦いを続け、日清、日露の挙句に太平洋戦争の敗戦を以て現代に至ります。

現代も武力衝突こそしませんが、社会、経済のあらゆる分野で戦いを続けています。

近隣の中韓は、日本を敵国と観た政策、教育を進めていますから平和ボケしているわけにはいきません。

ましてやA新聞のような売国報道や、小沢一派の外国人に選挙権を与える主張などは言語道断です。

そういう連中に限って言葉巧みですから、国会討論や政見放送などでは美辞麗句を並べます。

渋沢栄一は行動力がなければ世間に評価されることはないと言い、知行合一という陽明学も引き合いに出します。